キューバを知る会・大阪

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『わが夫、チェ・ゲバラ 愛と革命の追憶』
アレイダ・マルチ著  後藤政子訳 朝日新聞出版 1900円+税
 
ソダーバーグ監督の映画『チェ 28歳の革命』をご覧になられた方は、この
アレイダ・マルチが登場してきた場面をご記憶でしょうか。半裸の彼女が体に
貼られていた絆創膏をはぎ取られるという場面があります。実はあのエピソー
ドは、彼女の活動家としての任務に深く関わるものだったことが、この本を読
めばわかります。
 アレイダはゲバラの妻であると同時に、彼を知る以前からキューバ革命のた
めに身を献げてきた女性でした。彼女はカルヴァン派のプロテスタント教会に
通っており、その教会の信者を通じてカストロの「七月二十六日運動」を紹介さ
れ、その運動に加わったという経緯が記されています。したがって、当初はコ
ミュニストではなく、また山岳ゲリラでもありませんでした。彼女は「リャノ」
と呼ばれる都市の活動家でした。キューバ革命といえば、もっぱら山岳でのゲ
リラ活動の視点から語られることが多いのですが、この著書においては、彼女
の活動を通じて「リャノ」の状況の一端が描かれています。
 冒頭のエピソードは、都市と山岳、この二つの地域の運動の結びつきを示す
ものであり、またアレイダとチェの私的な関係の萌芽でもあります。
 ゲバラが追求した「新しい人間」について、この本でもいくつもの箇所で述
べられています。たとえば、「自発労働」こそが「政治的文化的な人間形成」に
つながるものであり、これが「新しい人間」の基礎である、と。妻というチェ・
ゲバラの最も近しい存在として、彼のいくつかの欠点も指摘しながら、その革
命への情熱、高い倫理性、そして家族への愛について、変わらぬ愛情とともに
描き出されています。